web制作者が印刷物を制作するときにチェックしたい10項目

Webも印刷物も同じ制作物として考えられがちですが、必要な知識は全く異なります。
自分の経験も通して印刷物の制作時に気を付けたいポイントをまとめました。

Webの制作をしてると一緒に印刷物の制作も頼まれることがあります。
しかしWebも印刷物も同じ制作物として考えられがちですが、必要な知識は全く異なります。
自分の経験も通して印刷物の制作時に気を付けたいポイントをまとめました。
小規模の制作物が主な対象です。

  1. 納期の確認
  2. 用紙の選択
  3. 仕上がりサイズ
  4. 使用する色
  5. 色校正
  6. 印刷の種類
  7. 加工
  8. 使用する画像
  9. データチェック
  10. 見積り

1.納期の確認

納期の確認

個人的に一番か二番目に重要視してます。
僕の仕事がたまたまそうなのか分かりませんが印刷物はタイトな納期が多いです。

直前まで自分で作業できるWebと違って、
印刷物の制作には当然ながら印刷の工程があります。
ここは外部に依頼する工程なので調整が難しい部分です。

更に加工により時間がかかることもありますし、
その後の配送(または受け取り)にも時間がかかります。
また、印刷会社によって入稿データの受付時間や、
営業日の数え方が違うのでその点も気を付けないといけません。

これらを念頭において納期を決めることが大事です。

僕も過去に計算間違えをして胃が痛くなる思いをしたことがあります。
ギリギリではなく余裕を持った計画を立てることが望ましいです。

2.用紙の選択

papaer

一言に「白い用紙」といっても用紙の種類によって質感や色味が違ってきます。
また用紙には厚さがあります。
印刷に用いられる用紙の厚さは「kg」で表されます。
これは四六判(788x1,091mm)の用紙を1,000枚積んだときの重さです。
重い程厚みが増します。
厚さと用途の参考:用紙の厚さについて – 印刷通販株式会社

用紙の違いは実物を見ないと想像しにくいです。
印刷会社の中には用紙のサンプルを取り寄せできるところもあるので、
出来る限り実物で確認することをお勧めします。
※取り扱ってる用紙は印刷会社によって異なるので要確認

3.仕上がりサイズ

仕上がりサイズ

よく使われる規格はA版、B版です。
参考:用紙サイズ表|普通紙対応◆大判フルカラープリンタ|大判出力(大型出力)・図面出力

また、殆どの印刷会社では規格外のサイズも対応しています。
その際に注意したいのは、
注文するサイズはそのサイズを含むことのできる用紙サイズでの注文となります。
例えば仕上がりサイズ縦100mm×横400mmの印刷を注文する時は、
そのサイズを含むことのできるA3サイズでの注文となります。

サイズのポイント

4.使用する色

color
RAL Color Card by CoCreatr, on Flickr

印刷物はC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)で制作します。
フルカラー印刷であればCMYKの4色を使います。
それ以外にCMだけ使った2色印刷やKだけのモノクロ印刷もあります。

CMYKはRGBより色空間が狭いので、
Webで使用してた色を再現できない場合があります。
よってRGBをCMYKに変換すると鮮やかさがなくなりくすんだような色味になります。

どうしても希望の色を出したい場合は特色を使います。
特色では蛍光色や金銀も出せます。
またコーポーレートカラー等で特色を指定された場合はそれに従います。
※特色が使えるかは印刷会社によって異なるので要確認

色見本が手元にあるのが理想なのですが、
Web上でも擬似的に色を見ることができます。
DICカラーガイド情報検索(ver 2.0) | DICグラフィックス株式会社
COLOR FINDER Webレファレンス|東洋インキ色見本帳シリーズ

5.色校正

色校正
printers ink by jonny2love, on Flickr

印刷機での印刷とオフィスでのプリンターでは再現性が全く違います。
また用紙によっても色の見え方が異なります。
品質にこだわる制作物の場合は色校正をした方が良いです。

校正には、本印刷と同じ印刷機で本番と同じインキ・用紙で印刷する本機校正、
カラーマネージメントで本機の色味に近づけたプリンタなどで
疑似的にシミュレーションする簡易校正などがあります。

  本機校正 簡易校正
費用 高額 比較的安い
再現性 高い 本機校正より劣る

参考:色校正の基礎知識 | 印刷の決定版!印刷会社【グラフィック】

色校正をすることで制作物のクオリティは上がりますが、
制作日数や費用がかかることも気を付けなくてはいけません。

6.印刷の種類

印刷機
VFS Digital Design students visit Hemlock Printers by vancouverfilmschool, on Flickr

印刷の種類には、オフセット印刷、オンデマンド印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、
などがあります。
一般的にはオフセットかオンデマンド印刷を用途に合わせて選択することが多いです。

  オフセット印刷 オンデマンド印刷
部数 大ロットに向く 小ロットに向く
料金 大量部数ほど割安 少部数では割安
品質 高品質 オフセットに劣る・ベタに弱い
期間 ある程度の日数を要する 即日でも対応可能
用紙 数多くの用紙・サイズに対応 対応できる用紙・サイズが限られている

7.加工

加工Matt black metal business card by Photasia, on Flickr

印刷物には様々な加工を施すことができます。

折り加工
折り畳む加工を施します
スジ入れ
折りやすくするためにスジを入れる加工
ミシン入れ
きれいに切り取るために切れ目をいれる作業です
孔開け
円形に穴を開ける加工です
角丸
角を丸くする加工です
箔押し
金、銀などのメタル箔を熱転写で本の表紙やカバーに加工します。
浮出し(エンボス
凹状の型と凸状の型の間に紙を置き、圧を加えて、紙を凸状に浮き上がらせる加工でエンボス加工ともいいます。
トムソン(型ヌキ)
特定の型に合わせて打ち抜く加工です。
PP、マットPP加工
印刷された紙にポリプロピレンのフィルムを圧着させる加工です。耐久性、耐湿性に優れる。
パウチ加工
印刷物を両面からPETフィルムではさみ熱圧着する加工です。表面保護と防水効果は抜群

など。
参考:加工オプションについて | 印刷の決定版!印刷会社【グラフィック】

加工によって納期と料金が変わってくるのでその点は気を付けます。
また印刷会社によって対応できる加工が変わってくるのでそれも確認しておきます。

8.使用する画像

画像

印刷に使用する画像の解像度は350dpiです。
※正確には制作物により異なります
参考:Illustratorのツボ|印刷方法によって異なる適正解像度

なのでWebの画像を印刷に使うには、
縮小して適切な解像度にするか、画像を加工して使うようになります。
できれば印刷用に解像度の十分な画像を貰えるように手配した方がいいです。

9.データチェック

data

どの印刷会社にもデータ作成のガイドラインがあります。
初めて利用する印刷会社の場合は必ずこのガイドラインによく目を通しておきます

殆どの印刷会社に共通するデータ作成のガイドラインは以下の様な項目です。

  • フォントはアウトライン化する(または印刷会社指定のフォントを使用)
  • 画像の解像度は350dpi
  • 画像は埋め込む。またはリンクの場合はその画像も一緒に入稿する
  • CMYK以外の色は使わない(あえて特色を使う場合は除く)
  • 3mmの塗り足しを入れる

これ以外の細かな項目は印刷会社によります。
また対応アプリケーションのバージョンも印刷会社により異なるので、
制作前にチェックしておきます。

データ入稿後は、印刷会社で印刷工程に入る前にデータに不備がないかチェックが入ります。
ここでデータに問題があると修正して再入稿することになり
場合によっては入稿完了日が一日遅れてしまうことがあります
予定にズレが生じてしまうのでデータチェックは慎重に行います。

10.見積り

計算機

印刷工程の見積もりは印刷会社で料金が決まってますので問題ないでしょう。
色校正する場合はその料金と手間も加算します。
問題はデザイン料金ですが、正直ここは僕もまだ頭を悩ましているところです。

基本的には用紙サイズによって料金を算出してますが、
デザインによって作業時間が変わってくるので
作業時間で計算する方法が望ましいかなと最近は考えてます。
合わせて、「この料金内では修正は何回まで」と決めておくのが望ましいです。
下記のページも一つの参考になります。
チラシ制作料金まとめ12個 – W3Q

補足

制作中に気付いた点やおかしいと思った点があったら、
指示されてなくても聞いてみた方が良いです。
印刷物の恐いところは印刷してしまったらWebのように簡単に修正できないことです。
一文字のミスで数百万〜数千万の損害が出ることもあります。

印刷前ならストップはかけられますが、
入稿してから印刷までにも幾つか工程があるため
入稿後のキャンセルには費用が発生すると考えたほうが良いです。

クライアントの校了で発注し、
責任はこちらにないとしても、クライアントとの関係は悪化しますし、
逆にこういう部分に気付くことで信頼関係がより増すことがあります。

また印刷物は名刺・フライヤー・冊子から、封筒、パッケージ、メニュー、
更にはコースター、タンブラー、マグカップなどのノベルティまで幅広くあります。
紙の印刷の知識で対応できる場合もありますし、
そうでない場合もあります。
制作に不安がある場合は専門にやられてる業者に協力を依頼した方が良いと思います。
「餅は餅屋」
その上でいろいろ学ばせてもらうのが最良でしょう。

B!

Comment

コメント(2)

2012年2月8日@ 1:08 PM

キャプテン

私は紙媒体出身ですが、非常によくまとめられてますね!
参考にさせていただきます。

2012年2月9日@ 1:23 AM

hiro

ありがとうございます!
紙出身の方に言われると嬉しいですね。
僕も昔DTPオペレータやってたので忘れないように書いておきました。

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